「連続の式」についてまとめる

流体力学

流体力学において,「連続の式」というものについて習うと思いますが,私自身,これを習ったときになぜか「連続の式」たるものが複数出てきて混乱した記憶がありますので,きっと同じ悩みを抱えている人がいるかもしれないと思い,ここで一度整理してみようと思いました.

具体的には$$ \displaystyle
\frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0
$$と$$ \displaystyle
A_1 v_1 = A_2 v_2 = \text{一定}
$$の2種類の「連続の式」が出てくるのはなぜ?ということについてまとめます.

どちらも同じ

まず初っ端から種明かしをしてしまいますが,これら2つの式は

「連続の式」という名前が同じというだけでなく、「全く同じ物理法則(質量保存則)」を表している

ことに注意しましょう.

たまたま同じ名前がついている他人ではなくて,同じ性質,同じ名前,同一人物といった感じです.

「連続の式」ってなんだ?

では,そもそも「連続の式」って何のことなのでしょうか.

ここで「質量保存則」と混乱する方がいるので,一度整理しておきます.一言で言えば,

「質量保存則」が概念、それを数式として定式化に成功したものが「連続の式」

といった関係性にあります.

「質量保存」という物理原理(概念)を、解析的に解いたり、数値計算で扱ったりできるように数式に起こしたのが「連続の式」といった感じです.

\( \displaystyle \frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0\) がすべてである

先ほど,「連続の式」は2つ存在するという話をしましたが,1つ目の式\( \displaystyle \frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0\)が最も重要です.

$$ \displaystyle
\frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0
$$の式は,

「空間内のどんなに小さな点を見ても、勝手に質量が湧き出たり消滅したりはしない(質量保存則)」という、宇宙のどこでも・どんな流体(3次元、時間変化あり、圧縮性あり)にも成り立つ究極の一般式

です.これがすべての根本にあります.

宇宙内のあらゆる点において,この支配法則が成立するといった感覚です.

この式からもう一つの式は導かれる

先に述べたように,$$ \displaystyle
\frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0
$$の式が全てですから,この式を使うことによって,$$ \displaystyle
A_1 v_1 = A_2 v_2 = \text{一定}
$$の式は導かれるということです.それについて,ここで確認しておきましょう.

ガウスの発散定理

ここで数学的知識を先に導入しておきます.ガウスの発散定理というものがあります.それを用いることで以下の変形が成立します.$$ \displaystyle
\iiint_V \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) dV = \iint_S (\rho \mathbf{u}) \cdot d\mathbf{S}
$$これを先に押さえておきましょう.

実際に導出してみよう!

では導出していきます.まず,ノズルを通過する流体に対して断面積を\( \displaystyle A\) 、流速を\( \displaystyle v\)としています.ここで,タービンの内部など、モーターが一定の速度で回り続けて流れが安定している状態(定常流)を考えれば, $$ \displaystyle \frac{\partial \rho}{\partial t} = 0
$$と考えられるわけです.つまり,ここでは「定常流れ」を扱うことになります.

このとき,「連続の式\( \displaystyle \frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0\)」は,$$ \displaystyle \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0
$$のように変形できます.

いま,この式はあくまで「点」に関する情報です.これをノズル全体といった情報に拡張してあげることを考えます.配管の入り口(断面1)から出口(断面2)までの空間(コントロールボリューム)全体で、先ほどの式を体積積分すれば, $$ \displaystyle \iiint_V \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) dV = 0
$$と書けるわけです.

ここで先に紹介した「ガウスの発散定理\( \displaystyle \iiint_V \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) dV = \iint_S (\rho \mathbf{u}) \cdot d\mathbf{S} \)」を用います.そうすると$$ \displaystyle
\iint_S (\rho \mathbf{u}) \cdot d\mathbf{S} = 0
$$が得られることになります.

この式が意味するのは、「管の表面全体を通って出入りする質量の合計はゼロ(入った分だけ必ず出る)」ということです。

管の側面からは流体は漏れないとすると、流体が出入りするのは「入り口(1)」と「出口(2)」だけです。ベクトル\( \displaystyle \mathbf{u}\)と法線ベクトル\( \displaystyle d\mathbf{S}\)の向きを考慮して積分を計算すると、以下の式になります。$$ \displaystyle
-\rho_1 A_1 v_1 + \rho_2 A_2 v_2 = 0
$$つまり,$$ \displaystyle
\rho_1 A_1 v_1 = \rho_2 A_2 v_2 = \text{一定}
$$となるわけです.

そして、扱う流体が「水」などの液体だった場合を考えます。水はいくら圧力をかけても密度がほぼ変わりません(非圧縮性流体)。
つまり、入り口でも出口でも密度は同じなので,$$ \displaystyle
\rho_1 = \rho_2 = \rho
$$となります。
先ほどの式の両辺を\( \displaystyle \rho\)で割ってキャンセルすると……$$ \displaystyle
A_1 v_1 = A_2 v_2 = \text{一定}
$$ついに、見慣れたこの式(体積流量の保存)にたどり着きました!

[補足]\( \displaystyle \nabla \cdot u = 0\)と書いていたら?

流体力学において,\( \displaystyle \nabla \cdot u = 0\)がどのようなことを意味するのかについても確認しておきます.この式は「連続の式」である, $$ \displaystyle
\frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0
$$から導かれた式です.この式に対し,「定常流れ」であることと「非圧縮性流体(空間上のどの点でも圧力は(ほとんど)同じ)」であることを加味すれば,$$ \displaystyle
\nabla \cdot u = 0
$$が導かれることになります.つまりこの式が書いてあるだけで,扱っている流れや流体は,

「定常流れ∧非圧縮性流体」

であることを意味することが出来るということです.

以上,「連続の式」についてのまとめでした!

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