前回の記事に引き続き、「コントローラ(制御器)」が、どのような役割を果たすものであるのかについて説明した記事です。
前回の内容
前回の内容では、「フィードバック制御」について話しました。その中で外部情報として「出力」の情報を、司令塔である「コントローラ」に入れてあげなければ制御しにくいでしょう、という発想のもと、「フィードバック」というものが用いられる旨を説明しました。
前回の記事についてまだ読んでいない方は以下をご参照ください。

今回はその続きです。
「誤差」とは何か?
前回、「出力」と「入力」の内容に「ズレ」がないかをフィードバックを用いて確認すると言いました。

であればどのように考えれば「ズレ」があるかないかを考えることが出来るのでしょうか?
そうです。「入力の内容」と「出力の内容」の引き算の値を考えてあげればいいですね。この値のことを制御工学の世界では「誤差」と呼ぶわけです。
文字に用いられる「記号」について
制御工学の中では、いちいち日本語で書くのが面倒なものを英単語の頭文字を用いて表現することがあります。
その表現方法について知っておく必要があります。
- 入力、目標値…\(r\)で表される。入力としてこのデータを参照して用いてくださいね、という命令のイメージであり、referenceの頭文字をとって\(r\)で表される。
- 出力…\(y\)で表される。数学で求める関数の値を\(y\)で表す感覚と認識すればよい。最終的に、表現される動きである「出力」の情報を\(y\)で示している。
- 誤差…\(e\)で表される。お気づきの通り、errorの頭文字をとっている。
入力情報と出力情報に一切の狂いがなければ、それは自分が指示した内容を機械が完璧に再現できている状態であると言えます。その状態はこれらの文字を用いれば、「入力」=「出力」であることを数式化すればよいだけなので、$$
r(t)=y(t)
$$
と表現できます。このとき、誤差\(e(t)\)は、$$
e(t)=r(t)-y(t)
$$
で定義されているので、文字式を用いてどのように表されるのかといえば
$$
e(t)=0(すべてのtにおいて)
$$
であればよいということになります。これが理想的な状態です。

指示した内容が100%実現されている状態ということだ(理想的)。
では「コントローラ」では何が起こっているのか?
フィードバック制御を行うにあたって、「コントローラ」では一体何が起こっているのでしょうか。これについて考えます。
そもそも何がしたかったのかを振り返ります。まず「フィードバック」をしないシステムを改善してできたのが「フィードバック制御」でした。外部の情報を取り出してきたわけですね。そしてここから偏差(誤差)と呼ばれる値\(e\)を計算したわけです。「コントローラ」ではこの\(e\)の値が上手く\(0\)になり続けるように、計算が毎秒行われているのです。これこそが、「フィードバック制御」において、コントローラが実行しているものです。
ここで「ブロック線図」をもう一度確認します。

以前用いたものに、先ほどまでに定義した\(r\)、\(y\)、\(e\)などの文字を追加してみたものです。今のあなたであれば、何を言っているかが理解できるかと思います。
ここで「コントローラ」の部分を取り出して考えてみます。

「コントローラ」での入出力関係だけを取り出してみました。
前の記事でも触れた通り、「コントローラ」からは「外部」の情報は認識できません。なので「入力情報」から「出力情報」自体を引いたものを「コントローラ」に対する「入力」として入れてあげることで、わざわざ外の世界を「コントローラ」が見に行かなくても、どのような状況になっているのかを把握することが出来るようになっているというわけです。
そしてこの\(e\)の値を用いて\(u\)の値を決定します。この計算が、「コントローラ」の中で行われることになります。\(u\)というのは「プラント」、つまりは「制御対象」に入っていく入力信号です。

システムが望み通り動くように、偏差(出力値と目標値の差[r-y])[e]の情報を計算し、対象[P]に入っていく入力値[u]を計算し、制御対象の出力値[y]が目標値[r]に近づくように、制御対象への入力[e]を最適化しているということだね。
上の少年が言っていることこそが、「コントローラ」で行われていることにほかなりません。
さきほど、\(e\)の値を用いてコントローラ内部で\(u\)の値が計算されると言いました。
このコントローラに組み込まれている計算ロジックのことを制御則(制御アルゴリズム)と呼び、その中で代表的なものにPID制御や状態フィードバック制御などがある、といった構造になっているわけです。
では、ここでいう「制御則」ってなんなんだということについて、以下の記事で説明しています。


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