本記事は,制御工学における最終値の定理について理解を深めていこうとする記事です。
数学的に厳密な証明などを確かめる場ではないことにご了承おきください。
まとめ
先にまとめです.
「最終値の定理」とは
$$
\lim_{s \to 0} sF(s) = \lim_{t \to \infty} f(t)
$$
で表される.
制御工学にて,この定理が多用される理由は,
\( \displaystyle t→∞\)の計算を,\( \displaystyle s\)に\( \displaystyle 0\)を代入する簡単な計算に変換出来るため
である.
「最終値の定理」とは?
最終値の定理は以下のようにあらわされます。
$$
\lim_{s \to 0} sF(s) = \lim_{t \to \infty} f(t)
$$
数式を日本語へ
数式で用いられている文字について
まず,数式で用いられている文字について確認します。最終値の定理$$
\lim_{s \to 0} sF(s) = \lim_{t \to \infty} f(t)
$$では,ある関数\(f(t)\)が与えられており,それをラプラス変換したものを\(F(s)\)とおいています。
出てくる文字はこれだけで、あとは「時間」\(t\)と、ラプラス変換による変数\(s\)が用いられています.
言葉にするとどうなるか?
この数式を日本語に変換してみます。
まず右辺です。
$$\lim_{s \to 0} sF(s) = \lim_{t \to \infty} f(t)$$
右辺で言っていることはこうです。
\(f(t)\)の値について、時間が無限大経過したときの値を計算せよ。
\( \displaystyle t \to \infty\)は,「制御工学」では,「定常偏差」の話に直結します。
時間が無限に経過したときの\(f(t)\)の値が一意に定まるのであれば、\(f(t)\)はいずれ,ある値に収束するといえます.
一意に定まらなければ,収束しません.

定常値(最終的に行き着く値)を考えるには,\( \displaystyle t \to \infty\)に発散させなければなりません.
ですが,可能な限り,\(t→∞\)の計算は行いたくないものです。
そこで左辺なのです。
$$\lim_{s \to 0} sF(s) = \lim_{t \to \infty} f(t)$$
左辺で言っていることはこうです。
\(f(t)\)をラプラス変換したもの\(F(s)\)に\(s\)をかけ,\(s→0\)の時の値を計算せよ.
これが「最終値の定理」の便利なポイントです。
つまり
ここまでの話をまとめます。「最終値の定理」が言っていることはこうです。
時間 \( \displaystyle t \to \infty\)は,\( \displaystyle s \to 0\)に変換できる.
\( \displaystyle \to \infty\)の計算を考えるよりも\(0\)を代入する方が簡単な計算ですよね.
なぜ「最終値の定理」が「制御工学」で用いられるのか?
先に説明したように、「最終値の定理」は無限時間後の情報を、無限時間待たずに計算できる方法です。ここに「制御工学」的に意味を持つ部分があります。
それはシステムについて考えるとき、最終的にそのシステムがどのような値に収束するかどうかは重要な意味を持つということです。
最終的に収束する値が予定とほぼ同じであれば、そこまでのずれを直すことに集中できます。
反対に、最終的な値が予定の値と大幅にずれていれば、もとの制御理論がおかしい可能性があるのです。
だからこそ、最終的に収束する値の情報は価値があるのです。


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