理解のために「Anki」を用いるということ

勉強法
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はじめに

以下ではiOSアプリなどに用いられているものに対しては”Anki”とアルファベット表記、市販で販売されているものや一般用語として用いられているものに対しては「暗記」と漢字表記をすることで区別することとします。

この記事では「Anki」を「理解」という概念に着目して使うにはどのようにすればよいのかということについて話していきます。以下の記事の途中にて触れている内容になりますので、よろしければ以下の記事を参考にしてください。

さて、「Anki」です。”iPhone”や”Android”において、アプリストアでダウンロードすることが出来、また、PCでも使用することが出来るあれです。あれを理解の記憶のためにうめく使えないかという私の長年の考えをまとめたものになります。

まず、一般的なAnkiですが、これはいわば単語の暗記や歴史用語の暗記などによく用いられます。主に言語習得の際に用いられるイメージが強いですが、ここではこの使い方とは少し違った考え方をしたいと思います。

要はAnkiを使うことは使うのだけれど、Ankiカードを使用しているときの頭の使い方は「単なる丸暗記」のときと全く違うということです。これにも説明がいります(なぜなら脳みその中は見えないから。)。

いわゆる一般的なAnkiの使われ方とはどのようなものでしょうか?例えばやはり最も有名なものとしては一問一答形式の英単語暗記などがあげられるでしょう。多くの人が市販の暗記カードでも行ってきたであろう最も原始的な勉強方法です。暗記カードとはそもそもアウトプットの作業をより効率的に行うために発明されたものであると考えられ、また、それは勉強効率やエビングハウスの忘却曲線の話題に移ってしまうので、ここでは割愛します。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

「エビングハウスの忘却曲線」のよくある勘違い
「エビングハウスの忘却曲線」に関する情報が世に蔓延っているので、ここで一度まとめます。 「エビングハウスの忘却曲線」がすべての暗記事項に対して忠実に成り立つと思っている人は間違いですので、是非とも一読していただければなと思います。 ...

また、AnkiのDefaultで設定されているカードのモードも「表面」と「裏面」しか用意されておらず、エビングハウスの忘却曲線のような関連付けのないような適当な単語、未知の単語を記憶するために作成されているという点で異なります。

しかし、この機能を応用することが出来ます。
どのように応用することが出来るかといえば、まず、「人間の記憶」の特性を知ることから始まります。「人間の記憶」の方法にはさまざまありますが、そのうちの一つに「関連付けされているものは記憶しやすい」というものがあります。これは脳内のシナプス同士がつながることで、そのつながりがより強固になることで記憶に定着しやすくなるというものです。「理解しているもの」というのもこの意味でランダムな文字列に比べれば人間にとって記憶しやすくなっています。なぜなら「理解できること」とは「説明できること」であり、「説明できること」とは相手が分からないであろう部分まで事象を分解していくことが出来るとも捉えることが出来るからです。事象を分解することが出来るということは、それらの知識同士が因果関係などによって相互に補完し合っていることを意味します。

「エビングハウスの忘却曲線」自体は「ランダムな単語を暗記する」ことに特化したものであり、そのように実験もなされています。なので、「理解したこと」に対して「エビングハウスの忘却曲線」と同様の周期で復習を行うことは非効率的であると言えます。ですが、Ankiというアプリには各Deckごとに復習周期をFSRSによって最適化してくれるという強い機能が搭載されています。これをうまく使うことで、無駄なく「理解したこと」を忘れずに済むというわけです。この辺の設定に関しては次の記事で詳しく説明しているので、そちらをご覧ください。

さて、次の問題はどのような問題を作成するのかです。例えば表面の内容が”chair”であったときにその裏面が「椅子」と書いてあってもそれは理解を試している問題とは言えません。これはベン図で「勉強」というものを考えてみればわかりやすいのですが、「勉強」=「理解」&「記憶」であるとします。これらは互いに丸い円であり、重なり部分を持ちます。この「記憶」部分において、「理解」の部分の円と一切の重なりを持たない部分がこれにあたります。ここには「理解」の介入の余地がない「英単語」や「数学の定義」などが相当します。(「英単語」が語源や発音などで「理解」することが出来るという主張に関しては別の記事で。)

つまり、この「理解」と共有部分を持たない領域に関しては丸暗記するしかないので純粋なAnkiのような機能が役に立ちます。これに対してそうでない部分は「丸暗記」するよりも「理解」してしまった方が「記憶に残りやすい」というのは先にも触れた通りです。さて、本題に戻り、どのように問題を作成するのかということなのですが、それはつまり、「説明を求める問題文を作成する」ことに収束します。なぜなら、何年たってもこれに対して回答することが出来るのであれば、それは「理解できている状態」を保持し続けることが出来ていることに他ならないからです。

具体例をいくらか挙げてみます。書き方としては「…とあるのはなぜであるのかについて説明してください。」というものや「…なのはなぜか?」などのようなものです。

例えばこれは私の実際のAnkiの問題画面ですが、問題文には

「誤差ダイナミクス」とは何か?
なぜ「ダイナミクス」という名がついているのか?

と書かれています。これは「制御工学」という分野の内容ですが、ここではそれは重要ではありません。ここで言いたいことは1行目で「定義」といった理解の介入が及ばない「丸暗記」の部分を問い、2行目で「関連付け」や、それがなぜであれか分かれば定義の式が導かれるような結びつきや理解について問うている部分になります。

少しなじみがない分野ではあると思うので、もう少しわかりやすい形で例をあげます。

例えば自動車免許を取るために車校に通うとします。そんな中で”「中央線」は必ずしも中央にあるわけではない”という交通の決まり事を学んだとします。実際に学科試験などでも○×問題で出題されるような題材です。そんなとき、”「中央線」は必ずしも○○にあるわけではない”という問題にするのではなく、”「中央線」が必ずしも中央にあるわけではないのはなぜか?”という問題にするということです。前者はただの丸暗記でしかなく、実際になぜ真ん中にあるわけでないかを説明できるわけではないので忘れた瞬間正解することが出来なくなります。交通ルールでこれをされると交通事故が発生する要因になりますから大変困るわけです。ですが、後者の場合であれば「その理由の説明」を問うています。これに対して答えることが出来れば説明することが出来ているということが出来ます。実際の解答例は以下のようになります。

「中央線」の役割は、道路整理であり、交通の円滑化などの目的で必ずしも中央である必要はないから(渋滞時など、臨機応変に対応することもできる。)。

さて、であれば教科書に書いているわけでも何でもないこのような問題文をどのように考え出せばよいのでしょうか?そこで先ほどの江戸時代の話が重要になってくるのです。新しいことを学ぶ際に「なぜ?」「どうして?」と問う習慣をつけるようにと子供のときから言われることがあってもそれをうまく継続できなかったような方は少なくないと思われます。ですが、「江戸時代の人に説明できるか?」という観点から勉強を展開していれば話は別です。質問者は「江戸時代の学者」です。江戸時代に大量のテキストをもっと行くわけにもいかないわけですから、「江戸時代の人に説明するべき内容」を新たに学習したときは江戸の学者からどのような質問が来るかを想像しながら勉強しなければならないということです。これにこたえることが出来なければ金も名声も手に入りません。

このようにして勉強中に「もし江戸の人に突っ込まれたときに説明することが出来ない」ことがあなたが「理解することのできていない場所」なのです。なので、想像の中で江戸時代の人に言われた内容をそのままAnkiの問題文にすればよいのです。教科書を読んでもその答えが分からなくても今ではAIの手助けを得ることもできます。そのままその「問題文」をAIに打ち込めばいいのです。そこで出力された答えをあなたが納得することが出来るものであれば、それもその質問の答えになり得るというわけです。

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